大人のためのカルチャーセンターを始める五つの理由と三つの動機
理由1
近年デイサービスの車が街中に溢れていますが,限られた人材や予算から結果的に介護度の高い利用者中心のメニューで,ある程度自由がきく利用者が煩わしさや稚拙さを感じたり,肩身が狭くなることもしばしばあるそうです。そのイメージもあってかついに通うことなく,孤独の中で亡くなる方もいます。単なる年齢によってシニアとなり現役から退いた方々が新たな趣味を見つけたり,楽しんだりする場所が一向に提供される気配はありません。本来もっと健全な生涯を送ることができるはずなのに。
理由2
過労死が騒がれる中、会社員を救おうと厚労省は、残業を無くすように、時短を実現するようにと法律を作り、行政指導をすすめる一方で、SECOMによる施錠で追い出された会社員は、結局仕事を持ち帰るしかありません。かたやテレワークが増えてきたとはいえ、仕事はパソコンの仕事だけではありません。このような現状であるにも関わらず,自宅に静かに集中できる場所を持ち合わせている人は少ないと言わざるを得ません。
理由3
共働きと家事の分担が叫ばれても,結局ほとんど女性が子供の世話を受け持ち,家事や子供の送り迎えに追われ,隙間の時間で何かを気軽に楽しみながら知的で文化的な人生のスキルアップをしていく場所が身近にありません。
理由4
お稽古ごとを主催したいけれど人を集めて教える場所がない。または、指導者の資格は持っているけれど教える機会がないという人も多くいるとききます。またレンタル会議室も駅前に増えてきています。
理由5
近年,中高生が塾を選ぶ目的の一つに自習室の利用が上位に上がってきています。受験の為の講座は世の中に数多くありますが,普段の勉強のサポートを受ける身近な場所があまりありません。
私(館長)の動機1
私は人生の大半を教育に捧げてきました。2年間の公立小学校,38年間の私立高校での経験は教育者としてのものだけでなく,おのずと様々なスキルを身につけることになりました。
例えば世界史を中心とした歴史哲学芸術などの知識,視聴覚機器やコンピュータの取り扱いとプログラミングやシステムの構築,テニスの指導,カウンセリング,海外修学旅行の企画と引率,担当部署において各種業者との折衝や物品購入と予算決算の会計の取りまとめなど,通常の社会人では得られないほどの多面的なスキルです。
また私は,3歳から古典芸能の能楽の世界に入り,多くの名人からの教授を受けつつ修行に励んできましたが、さらにここ10年は,英仏中伊独韓西の会話の学習に励んできました。
一方では,親の介護を11年間を終えたばかりで,試行錯誤の中で介護におけるスキルや仕組を沢山学んでもきました。
定年をすぎ退職金をいただきつつも再雇用の身分となった私は,こうして多くの人に接して学び得た経験やスキルを,どうしたら社会に還元できるかということを真剣に考えるようになりました。
私の動機2
長年学校教育に携わってきましたが,どうも居心地があまり良くなくなってきました。それは経済会や教育会などの社会からの要望,家庭からの要望,文科省や厚労省や政府といった国からの要望などとともに様々なコンプライアンスが,それぞれ違ったベクトルでありながら過度で一点集中型に一人一人の教員に降り注いでくるのです。大企業なら部門別に分担されて,仕事が重なることはありませんが,社会主義国家のような学校では全てを兼ねるのが当たり前で,企画や運営において責任者は分担されても,仕事は分担されません。
さらに子供自身もそれを取り囲む環境も、刻々と変化するだけでなく多様化が進み,様々な問題が深く絡みあってきています。しかし過労死を超える教員の仕事が話題になっても、この教員不足のおり、クラブ活動の負担軽減の話題でお茶を濁すのみです。
このようなスーパーハードな仕事を,私には到底こなす能力も体力もなくなってきましたが,まだまだ年齢以上のエネルギーは十分あります。
私の動機3
私が培った知識やノウハウを提供しようと,全世界展開するカフェトークというオンラインスクールの会社に講師登録しておよそ2年が経とうとした時,多くのリピーターに支えられた結果,レッスン数は1,000件に登る勢いでした。これはすなわち,私のようなものでも必要とする方々が沢山いらっしゃるという実感を得るようになりました。
結論
前述の理由と動機を結びつけるものは何かと考えた時,ネットカフェ付きのカルチャーセンターのアイデアに辿り着きました。
「ここに来れば,気軽に文化的なイベントに接しながら,人生にひとつまみの豊かさとゆとりを手に入れる事が出来る。」
これこそが,Bottega(ボッテーガ)の使命です。