多言語文化芸術歴史

やっぱり吹き替えだけじゃ楽しめない(その1)セサミストリート編

2022年12月31日

 セサミストリートというアメリカ製作の子供向け番組を知ってますか?最近は吹き替えで放送され、内容を知らない子供たちでもエルモなどのキャラクターグッズを持ち歩いたりしているあれです。

 はじめ日本ではNHK教育TVで字幕無しで、テキストBOOKを購入して解説をみる形式で進められていました。

中学生の私は、マペットが繰り広げる面白おかしいミュージカル仕立てのドラマを原語で聴きながら、おそらく意味はこんな感じなんだろうと勝手に想像しながら観ていました。

 大好きだったのは、何でも食べてしまうクッキーモンスター、アニーとバートのデコボコ兄弟のコント、いつも数を数えながら大喜びしてるドラキュラ。

 そして意味不明だったのは突然スペイン語のシーンが現れては消えるところでした。

ずいぶん大人になってから分かって納得したのですが、実はアメリカ人でありながら英語が話せない子供たち(主にヒスパニック系)のために作られた教育番組だったのでした。

さてドラキュラの話に戻りますが、ある時YouTubeで懐かしいオリジナルの動画を探し当てて、ビックリしました。

 彼の名前は「カウント伯爵」原名は「カウント=フォン=カウント」いわゆるダジャレで、伯爵を意味する「カウント」が「カウント」して(数を数えて)いるんです。

謎が解けたのが嬉しかったのと、彼が何故か外国語訛りのある英語を話してたのが気になって、オカルト好きのネイティブの先生に話したら次の様に答えました。

「あのキャラクターは、ハンガリー訛りで喋るドラキュラ映画初期の役者ベラルゴシへのオマージュなんだよ」

原語だからこそ楽しめる世界。やっぱり吹き替えだけじゃ十分に楽しめませんね。

ミネルヴァの梟がいま飛び立つ