多言語文化芸術歴史

やっぱり吹き替えだけじゃ楽しめない(その2)ミニオンズ&スターウォーズ編

2023年1月1日

前回、訛りのある英語についてお話ししましたが、うっかりすると、英語という原語は一つだけだと思い込んでしまいますが、そうではありません。

例えばアメリカは、およそ300年の間に、イギリスからだけでなく、非英語圏からの移民が流入してきただけでなく、広大な地域に分散して、さらに様々な階級に分かれ、方言だけでなく、様々な外国語訛りの英語が存在しています。それこそがアメリカの文化でもあります。また世界には当然、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語…などがありきりがありません。

私の大好きなアニメに「ミニオンズまたは怪盗グルー」があります。

監督のコフィンは、全てのミニオンの声も担当していて、一見デタラメの言葉も、英仏日中インドネシア語などで構成されています。仏人の父とインドネシア人の母の間に生まれ、カンボジアや日本にも住んだことがあり、イギリスでアニメを学んだことからも納得がいきます。

さて怪盗グルーの声を聞いたことはありますか?鶴瓶さんの方じゃありませんよ。どうもロシア語訛りの英語のようです。調べたことはありませんが、アメリカ人ならそこから彼のバックグラウンドが想像できるんでしょうね。

スターウォーズのキャラクターは、基本、イギリス英語を話すようにしているそうです。シェークスピアの演劇のような古典的な雰囲気を作るためにだそうで、日本に当てはめるなら時代劇のセリフのようなものなのでしょう。

近年とかく様々なコンプライアンスが騒がれるようになりましたが、エピソード123で悪役が使った英語の訛りがアメリカ南部の黒人を連想させ、それが差別につながると問題視されたことがありました。

日常会話がやっとの私には、そこまで深いことはわかりませんが、とても興味深いことです。やっぱり映画は吹き替えでは十分に楽しめませんね。

ミネルヴァの梟がいま飛び立つ