西洋占星術の占い方(その2)後編占いと科学
2023年1月5日
前回から西洋占星術についてお話ししてきましたが、実はこれからが本題です。この占いは西洋中世の後半から近代の初期に向かって急速に発展しました。何故なら天体観測の技術が進んできたからです。精密なホロスコープも描けるようになりました。ただしそれは、現在の天文学から見ると明らかに逸脱したものであるのですが、どんなところだと思いますか?
そうです。ホロスコープは天動説に基づいて描かれているのです。地球の周りを天体が動いているのです。現在もこの方法で占いは行われています。
正確な天体観測に基づいているので、非常に複雑怪奇で高度な計算によってそれに当てはめます。特に学者を悩ませたのは、火星、木星、土星、天王星、海王星が突然逆方向に動き出す事でした。占いでは、これを「減」といって、星の力が弱まると考えます。
太陽を中心とする現代天文学からみればそれは至極当たり前、インコースを回っている地球が他の天体を追い越すだけなのですから。
しかし当時の天文学者は、水星と金星以外は、それぞれが小さな円を描きながらさらに地球の周りを回っていると考えたのです。
一方、14世紀の神学者の考え方に「ウォッカムの剃刀」というものも存在していました。すなわち「問題解決を行うための仮説を提示する時、最も少ない仮定で解を得るべきである」という思考法が知られていましたが、さらに近代の夜明けにルネサンスというギリシアローマ文化の復興運動が進むと、「全てのものは神が創造したものだから、全てはシンプルな数値と数式で表すことができる」という考え方が復活したのです。
そんなこんなで複雑な計算式で天体を導き出しているうちに、ガリレオやニュートンは「神様が作ったものはシンプルな数値で表せなければおかしい。整数こそが神聖である。地動説こそがそれを可能にする考えだ」と確信を得て理論を構築していったのです。
歴史的に見ると、以外にも科学と呼ぶものは、いつも人間の宗教的な直感と結びついて生み出されてきたのです。