日本を表すジョーク

 本来ならここに書くのは有名な「沈没船ジョーク」なのでしょうが,はたと手が止まってしまいました。とても国民性を言い当てているとは思いますが,どこか違和感を覚えてしまいました。 なぜなら,これはいかにも外国人がつくったようなエスニックジョークで,昔から日本にある古典的なジョーク(笑い)を使っているように思えないからです。 私は子供の頃から,古典の「落語」に親しみ,古典芸能の「狂言」に接してきました。振り返ると,そこには,必ずほのぼのとしたものが醸し出されているのです。 たとえば,登場人物が,誰かを出し抜いて良い思いをしようと思ったり,誰かを懲らしめようと思ったりして,何かを試みるのですが,結局のところ失敗に終わります。しかし,そこに描かれている人間模様は,とてもほのぼのとしていて,しかも両者とも,どこか憎めない人間像として描かれるのです。 そこで,ググってみました。なるほどです。「日本の笑いは,本来,宗教的なものと結びついていて,笑いこそが人間に福をもたらすものと,認識されてきた」からこそ,そこには,どこかあたたかさが感じられるストーリーが点在しているのです。 落語や狂言を鑑賞し終わったとき,いつもそれらは,私たちにあたたかな気持ちを与えてくれるのです。 今回のお題にある「自分のお国柄がよくでているなあと思われるのジョーク」で,求められている返信の仕方から外れてしまいましたが,これこそが,日本をよく表しているジョークなのだと私は思いました。

ミネルヴァの梟がいま飛び立つ