Lifeクッキングと健康

O脚のなおし方

 私は3歳の頃から能の世界に触れてきました。4歳で初舞台を踏み、中学1年の時に初めて能のシテを務めました。そして高校生から大学生になった頃からでしょうか、稽古中に「ガニ股でなく、真っ直ぐ足を出しなさい。」と言われるようになりました。

 基本、能の足の運びは左右の足袋の内側同士が擦れるようにしつつ、床に足の裏を均等につけながら摺り足で真っ直ぐ進むのですが、いつのまにか、私の足はO脚になっていたため、それがうまく出来なくなっていたのでした。

 それからというもの、日常生活からしっかりと足の裏が均等に地面につくようにストレッチをしつつ、膝とふくらはぎを内側に寄せる力を意識して、真っ直ぐ歩くように心がけるようになりました。特に自ら考案した調整法は実にシンプルで効果的です。

 まず歩く時に、自分の足の指先が視界に入るように視線を軽く落とします。次に、自分の足の親指が真っ直ぐに出ていることを確認しながら歩きます。その時の心の中のかけ声は、歩調に合わせてリズムよく「親指!親指!」と2拍子です。これを丹念に根気強く、一日中続けることで、私のO脚は治っていきました。おそらくX脚にも同様の効果があると思います。

 さて随分時が経った後のことです。足の形が変わったようで、普段履く革靴もスニーカーも合わず、小指の方にかなりの痛みを感じるようになり、日本人にありがちな、いわゆる幅広甲高の靴を探して履くようになりましたが、痛みがなかなか解消されませんでした。

 そんなある日、ふと試してみました。例のO脚を直す歩き方です。するとどうでしょう。足の痛みはみるみる消えていったのです。そうなんです。変わったのは足の形でなく、歩き方だったのです。それからというもの、幅広甲高でない普通の靴でも、全く違和感なく履けるようになりました。

また階段の登り降りで、膝に痛みが走る時も、この歩き方が助けてくれることも、実証済みです。

 ぜひ皆さん、お試しあれ。

ミネルヴァの梟がいま飛び立つ