「すいません」は、日本ならではの文化です。
日本人が使うどこでもどんな時でもよく使う言葉は「すいません」でしょう。
例えばレストランに入った時に「すいません。席は空いてますか。」と聞き、席についてメニューをみて「すいません」と言って店員を呼びます。
そして、もし、注文でないものが届いた時、「すいません。これは注文と違うんですけど。」と言うと、店員は「すいません。」と言って謝罪します。
その後、その人が会計をしようとすると、「先ほどは、すいませんでした。」と店員が代表して神妙に謝罪すると、穏やかなお客さんは「すいません。かえってお気を使わせてしまいましたね。」と言います。
「すいません」は本来「澄みません」という言葉で、その時の相手の気持ちや状況を考えると、心が穏やかでなくなり、心がモヤモヤして澄まないのだけれど、仕方なく呼びかける時に使うものです。
謝罪する言葉であるなら「ごめんなさい」で、悪いことをした私のことを免じてください。許してくださいということとなるところなのですが、あまりこの言葉は使わず、「すいません。大変申し訳ございません。」ということが多い気がします。
この場合は、「私がしたことは大変悪く、あなたのお気持ちを考え方場合、とても申し上げる言い訳はありません。」という意味になります。
また入室する時、「失礼します。」と言い、退室する時、「失礼しました。」と言います。この場合は、「あなたの今の状況や気持ちを考えると、迷惑をかけたり不愉快な気持ちにさせるので、私が入室することは、失礼にあたるのですが、いたしかたなく入室します。」ということであり、結局そうなったので退室する時に「失礼しました。」というわけです。
日本語にこめられているニュアンスは常に、「あなたがいて、私がいる。」です。決して「私がいてあなたがいる」ではありません。
こうした文化は、世界の言語の中でも、大変レアケースであると同時に、尊く誇らしいことではないでしょうか。